ご報告/法務省「法定養育費の省令案」への意見提出

特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト

2025/10/02 16:32

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本日、法務省の「民法第三百八条の二の規定による子の監護費用の先取特権に係る額の算定等に関する省令案」に関する意見募集に以下のように弊会の意見を提出いたしましたので、ご報告いたします。

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令和7年10月2日

「先取特権に係る額の算定等に関する省令案」に関する意見」

 

法務省の法定養育費制度の省令案に対する意見以下の理由により、本省令案に強く反対します。

1 司法手続きを経ない法的強制力の問題
 本案は、裁判所の判決や合意形成などの法的プロセスを経ず、一方的に「債務者」と「債権者」の関係をつくりだし、「債権者」の意向だけで同意をしていない相手を「債務者」にして一定額を請求できかつ財産の差し押さえまで可能とする仕組みです。

 これは司法の意義を損なうものであり、法務省による「モラルハザード」の容認に他なりません。たとえ暫定的であっても、未成年の子を監護する者という理由だけで「債権者」が毎月定額を請求でき、かつ不払い時に「債務者」の財産を差し押さえられる制度は、国民の財産権を侵害する重大な問題を孕みます。

 この点に、国民として強い懸念を抱きます。

 

2 「子どもの連れ去り」(実子誘拐)行為を助長する懸念
 日本では、離婚時に未成年の子の監護者としての適格性や養育費の適切な使用に関する審査や精査はありません。

 「子の連れ去り」という社会問題がありますが、「子どもの連れ去り」は婚姻中の父母間でも発生しており、また、民事・刑事ともに処罰の対象とならない実態があります。実力行使で子を奪取したり、相手を住居から排除して子どもへの接触を許さず、実態として「監護者」となるケースが横行し、弁護士がこれを助長する事例も多々あります。諸外国では「実子誘拐」と呼ばれフランスでは刑法で「実子誘拐」を対象とした刑罰があるくらいですが、日本では最初の連れ去りは処罰されずまた起訴されることはありません。
 本案は、こうした「連れ去り親」や実家や弁護士などその協力者に利する仕組みとなりかねません。

 「子どもの連れ去り」(実子誘拐)は、子どもの安心・安全を脅かすものであり、本案がこの社会問題を助長する点で強く反対します。

 

3 国民への周知と合意形成の不足
 法的プロセスを経ずに強制力を持つ制度を導入することは、国民の財産権への重大な侵害行為です。

 このような制度変更には、十分な国民的議論と合意形成が不可欠ですが、本案は広く周知されておらず、多くの国民がその存在を知りません。拙速な導入は、国民の信頼を損なう結果を招くため、反対します。

 

4 暫定期間の不明確さ
 本案では「暫定的」とされている期間が明確に定められていません。

 子1人当たり月額2万円や先取特権の上限8万円の妥当性を判断するには、暫定期間の具体的な設定が必要です。期間が不明では、本案が子どもや国民全体に有益かどうかを評価ができません。この点も、反対の理由です。

以上の4点を理由に、本省令案に強く反対します。

特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト 森めぐみ
東京都中央区銀座一丁目22―11銀座大竹ビジデンス2階

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