
【公開】署名の国会議員陳情の原稿
先日は池下卓衆議院議員に陳情しました。
来週はかだ由紀子議員にお会いします。
陳情用に原稿作成したので公開します。
第1 署名活動実施の背景
支援措置は本来「DVを認定する制度」ではありません。
しかし、自治体や報道機関の一部にはその点を誤って理解しているところがあり、その結果、支援措置を受けた側が偏見や差別的な扱いを受けてしまうことがあります。こうした偏見や差別は、最終的に「親子断絶」を生む一因にもなり得ます。
弊会は約2年にわたり調査と是正の働きかけを続けてきました。その中で、自治体の認識は徐々に改善されてきましたが、報道機関の理解はまだ十分に改まっていません。
そこで、総務省が報道機関に対して正しい説明を促す必要があると考え、今回の署名活動を始めました。
(1)支援措置とは
令和8年4月15日付の総務省の通知(総行住第60号)によれば、『ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の 被害を申し出た者のうち、支援の必要性が確認された者の保護のための住民基本台帳事務 における支援措置(以下「支援措置」という。)』とあり、“被害”は裁判所が認定した被害ではないことがわかります。
つまり、支援措置とは、DV認定制度ではありません。
(2)弊会の4年以上の調査で分かった支援措置の被害
弊会は令和4年8月から今まで4年以上に渡り「親子断絶問題」の調査をしていますが、当事者にヒアリングすると身に覚えのない支援措置をされていた話を頻繁に聞きます。そこで令和6年に「実子誘拐被害調査」をしたところ回答者509名のうち118名(全体の約23%)が「DV等支援措置をされていた」と回答。
また、愛知県半田市の和解判決、佐賀県白石町の和解判決、令和2年の名古屋高裁の判決といった判例からも、支援措置を不当にされた当事者が人格的利害を著しく害されていることがわかりました。
DV加害者との偏見に基づく差別がもたらす当事者の精神的被害、そして園や学校の行事参加を拒まれる親子断絶の被害は早急に解消されるべき問題です。
(3)支援措置についての自治体と報道機関の誤認識
弊会は令和5年12月に全国1200自治体に一斉に郵送で支援措置による被害についての情報提供と支援措置の認識がどの程度かをアンケート調査しました。
回答した自治体のほとんどは正しい認識でしたが、一方で「支援措置の漏洩事件」の報道では「被害者」「加害者」と決めつけた内容ばかりだったため、自治体のプレスリリースがそうなのか報道機関が間違えているのかを調べることにしました。
このアンケート調査は弊会が自治体によって認識に差があるのではないか、報道機関の誤報は重大問題だとの認識に至る大事な調査になりました。
1、報道関連の調査について
(1)調査テーマ『支援措置についての自治体及び報道機関の認識について~プレスリリース・ニュース記事の調査結果より~』
(2)調査目的:支援措置についての認識調査(”DV認定制度”と誤認してないか)
(3)調査期間:令和6年12月~令和8年10月
(4)調査対象「支援措置の漏洩事件」に関する以下の計11件に関する各自治体のプレスリリース等と報道機関のニュース記事内の「被害者」「加害者」等の表記の有無
(5)調査方法:自治体については、プレスリリース内容または電話取材で、報道機関については報道記事内に、「被害者」「加害者」の文言や発言があるかどうかをチェックする。
(6)その他:自治体が正しいプレスリリース等をしているにも関わらず報道機関が違う表記等をしている場合は、その自治体に電話取材をして事情を聴いた。
<「支援措置の漏洩事件」に関する計11件>
1)岡山市の漏洩事件(令和6年12月12日発表)
2)千葉市の漏洩事件(令和7年9月19日発表)
3)奈良市の漏洩事件(令和7年10月6日発表)
4)目黒区の漏洩事件(令和7年10月8日発表)
5)川崎市の漏洩事件(令和8年3月25日発表)
6)愛媛県東温市の漏洩事件(令和8年5月26日発表)
7)長野市の漏洩事件(令和8年6月11日発表)
8)京都市南丹市の漏洩事件(令和8年7月23日発表)
9)埼玉県中央区の漏洩事件(令和8年8月31日発表)
10)埼玉県浦和区の漏洩事件(令和8年8月31日発表)
11)全国の情報漏洩件数について(「毎日新聞」令和8年10月5日報道)
2、調査結果
■概要
調査当初の令和6年では自治体が「被害者」「加害者」と記述していましたが令和8年の現在はほとんどの自治体の認識は正しくなり、プレスリリースや記者の問合せで「被害者」「加害者」の言葉を使用することはなくなりました。報道機関もその後、改善されています。これは自治体の認識の是正が報道機関の是正に繋がったと言えます。
しかし、それでもまだ某新聞社(「「支援措置の漏洩事件」に関する計11件」の11、を参照)がタイトルの最初に「被害者」とするなど、報道機関は不徹底です。
また、今年に入って目立つのは、支援措置の申出者の情報漏洩による引っ越し代等(約100万円)を自治体がすみやかに弁済するというニュースです。自治体の弁済に至るまでの判断はDVが実際にあったかどうかの精査プロセスは見受けられず、申立側の弁護士の要求通りに調停または協議レベルで決定していることが自治体への電話取材で分かりました。
■問題提起
―なぜ報道機関は改善しきれないのか?
弊会が自治体の担当者に電話取材を行った以下の結果をご覧ください。
(自治体への電話取材より)
・「戸籍課ではなく保育課がリリースの担当なので知らずに被害者・加害者と言ってしまった」
・「記者から使用してよいかどうか聞かれ漏洩した立場上使用不可だと強くは言えず押し切られるような場面もあった」
・「記者に質問されて知らずに被害者・加害者でよいと言ってしまった」
・「被害者・加害者と言う言葉を使った報道を見つけ訂正依頼をしてその報道機関は修正できたが、その他の報道機関まで対応しきれず報道されてしまった」
民間団体の弊会が促すだけでは報道機関は動きません。やはり、総務省が報道機関に対してしっかりと間違いのない報道をするように呼び掛けることが欠かせません。
弊会は1年以上に渡ってそのことを総務省にお願いし続けてきましたが、残念ながら、総務省が動いた形跡はありません。
総務省は国民に対しては選挙時のSNS上のデマがないよう呼び掛けていますが、しかし、報道機関に対しては国民が苦しむの要因になり得る間違いであるにもかかわらず是正を呼び掛けないのはなぜでしょうか。
弊会は、総務省は、国民への表現抑止をするのと同様に、報道機関の間違いの是正を促すべきだと考えます。
<支援措置を掛けられた側が裁判で被害が認められた2事件>
1)名古屋高裁 令和2年(ネ)第701号
2)横浜地裁 令和4年(ワ)第869号
今年に入って、支援措置の情報漏洩によって引っ越しを余儀なくされた申出者側に対して自治体が損害を約90万円をすみやかに支払うという報道をいくつも見かけます。
それに対して、上記の2つの事件の相手方の被害については、(1)は認められた損害金額は5万円、確定判決を得るまでに掛かった裁判期間は原審の平成30年から高裁判決の令和3年4月まで4年ほどの年月が掛かっています。(2)は和解判決でしたが損害賠償金はなし(謝罪のみ)で、掛かった年月は3年です。
情報漏洩による被害も深刻であるし、DV加害者と誤解され子どもと会せててもらえなかった人格的利益の害も深刻です。
同じ深刻な事案であるにも関わらず、自治体は後者については訴訟で争い長引かせ、そして裁判所は損害金を認めたとしても認容額は非常に低額です。
このことも弊会は支援措置についての自治体の在り方に対して問題だと認識し始めています。
